アトピー患者がつどう温泉
1、要旨
アトピーを改善する良い方法が見つかっていない現状ではステロイド剤で発生を一時的に抑えている。そのステロイド剤の影響でよけいにひどくなっている人が多い。そんな時に門脇啓二著「アトピー患者がつどう温泉」(三五館)が書いた標記の本を読んだ。以下に内容を纏めてみた。
2、豊富温泉
豊富と書いて「とよとみ」と読む。日本の最北端、稚内市のすぐ南に位置する町の名だ。酪農の町であり、北海道民が愛するコンビニ、セイコーマートの牛乳が生産されている。
その温泉の湯船に入ってみると、鼻をつく灯油のような臭いが立ち込め、湯船の中では茶色の油が層になって浮いている。湯から上がると油がべっとり体に付き、石鹸で洗っても石油くささが消えなかった。
大正15年に石油・天然ガスの採掘を目的に842mまで掘ったところ、大量のガスと温泉が噴出した。現在の人口は4000人程度。
現在営業しているのは、日帰り温泉の町営ふれあいセンターと温泉旅館一軒、温泉ホテル二軒、ビジネスホテル一軒など。その他に湯治の人が利用できる町営の温泉保養宿泊所「湯快宿」がある。
豊富温泉は「乾癬症」に効く。ということで、少し有名になった。豊富温泉の原油を乾癬が出ているところに塗ったら、2週間で良くなったなどの例がでた。日本での「乾癬」患者は人口の0.1%程度ですし、アトピー患者は一割程度と言われる。
豊富温泉の泉質特徴
① ナトリウムと塩化物イオンがほかの温泉に比べて非常に高い。
②ホウ酸濃度が全国的に見ても非常に高い。
③原油を含んでいる。
④溶け込んでいるさまざまな成分の総量が1キログラム当たり13グラムと非常に高い。
豊富温泉の優れたところ
①アトピーに良いとされる各地の温泉に共通するナトリウム塩化物泉である。
②皮膚炎を沈静化させる作用があるマグネシウム濃度が高い。
③美肌効果があるメタケイ酸濃度が高い。
④皮膚の殺菌効果があるホウ酸が多い。
⑤石油のタール成分が炎症を抑える効果を持つ。
⑥モール泉(植物由来の有機物を含む温泉)で、肌の状態を改善させる効果がある。
3、アトピー治療
(1)ステロイド剤治療:外用ステロイド剤でその強さで1郡から5郡まで分かれている。内服ステロイド剤もあるが、空腹感・めまい・髪の毛が抜けるなど副作用が強い。いずれも、一時的な効果はあるが長くは効かない。その後の副作用も強い。脱ステロイドも大変つらいものがある。
(2)プロトピック剤治療:一時的には良く効くが、数年後にはニキビが多発するなどの副作用がある。長期には使用できない。
(3)ネオーラル剤治療:内服薬で長期には使えない。薬の血中濃度が高くなると使えない。
4、豊富温泉を使用した製品
(1)濃縮温泉水:500mLボトルに入った「サロベツ大地恵泉」という商品。湯を煮詰めたもの。価格は1本630円など。
(2)石鹸:1個1850円など。
(3)クリーム:1個5750円など。
5、湯治関係アンケート
(1)湯治日数:平均で乾癬が10日、アトピーは17日。
(2)湯治初期にはかゆみが増加するが、2日~1週間で良くなっていくケースが多い。
(3)改善結果:109名からアンケートをとったら100%の人がなんらかの改善効果がでた。
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