金(ゴールド)
1、 要旨
今日、各国の中央銀行はすでに大量のマネーを発行しました。発行されたマネーを回収することは難しいだろうと考えます。何かをきっかけにインフレが急に進み、経済が混乱するタイミングが来るのではないでしょうか。そんな時代の過渡期に「金(ゴールド)」が注目されることになると思います。現時点での金価格は$1300/オンス程度で推移しています。その「金(ゴールド)」について以下に記します。
金の歴史
(1)紀元前6~7世紀 金が貨幣として利用され始める。金本位制。
(2)1785年 ドル(紙幣)の誕生。金とドル・ポンドとの交換可能。
(3)1971年 ニクソンショック。金とドルの交換停止。金が通貨の座を降りる。性善説に基づくドル本位制。
2、 金(ゴールド)価格の予測
(1) 上昇要因
a、通貨への不信 ドル・ユーロ・円への信認がゆらいでいる。
b、実物資産への回帰 ペーパー資産が紙くず同然になるため、シンプルでわかりやすい資産「金」にシフトしてきている。
c、インフレへの懸念 今回、通貨が大増発された影響が糖尿病のように、突然
表情が出てくる
d、世界的な超低金利 銀行預金していても資産が殖えないので、消去法で「金」が浮上してくる。
e、中国の経済成長 2008年から金の解禁になったので、民間の金売買が拡大。
f、2009年4月には中国当局が公的に金の購入を明らかにした。
g、年金・オイルマネーの流入 欧米の年金基金が金への分散投資を開始した。金ETFという新たな商品が登場し、機関投資家のマネーが流入。
h、金生産量の減少 金の埋蔵場所が地下4000mとか、海底などになってきた。
(2) 下落要因
a、米国経済の復権 米国がインフレにもデフレにもならずに回復する。
b、金利の上昇 インフレを未然に防止するために早目早目の利上げを実施。
c、IMF・ヘッジファンドの売却 運用資産の処分売り。国の救済に保有金の売却。
共に一過性の売り。
d、インドの金需要の急減 インドが財政赤字のため、輸入金に50%の課税。異常気象のため、農家の収入が減り花嫁の持参ゴールド減。
e、リサイクルの急増 価格が上昇するとリサイクルの形で市場に還流してくる。
上記より上昇要因に分があると見ています。上昇要因は根本的問題に根ざしているので、一過性とはいえない構造的要因だからです。
3、 金(ゴールド)投資の心得
(1) 己の「リスク耐性」を見極める
今日、株や金をかったとして、明日その価格が下がったとします。
その時に頭の中が真っ白になる人は投資に向いていない。
(2) まずは月々3000円で小手調べ
毎月「純金積立」を実施してみる。3000円でも身銭を切ると、心の中に変化が生じます。国際ニュースや為替の数字に目がいくようになり、国際感覚や相場を考えるようになる。
(3) 買ったら忘れる
欲や業が出ると損をするのが多いので、忘れられる金額で購入する。
(4) 愛情を込めて買い続ける
愛する人(孫・子)のために貯める心構え。
(5) あくまでも財産の隠し味
主役の株などの脇役。金利を生まないので、資産全体の10%以下。
(6)「全天候型」ポートフォリオを組む
「金は嵐の晩にこそ、一段と輝きを増す」、晴れの日の株式というように分散しておく。
(6) 金を動かすのは「ヘボ将棋」
プロのトレーダでも短期売買で勝つのは難しい。金の役割はどっしりと腰を落ち着けて王将を守ることであり、金をやたらに動かすのは
ヘボのやること。
(7) 印象派の絵を見る如く相場を読む
近くでみると絵の具の凹凸ばかり目に入って、全体が見えない。
「木を見て森を見ず」にならないように。
4、 金(ゴールド)投資の仕方
(1) まとまったオカネなら「金地金」
500g又は1kgが良い。それ以下の地金だと手数料がとられる。
日本金地金流通協会の会員になっているところから購入する。
(2)「金貨」は愛情を伝えるのに一番
金貨に含まれる純金の量で価値が決まるタイプがお勧め。
ウィーン金貨・カンガルー金貨・メイプル金貨が代表的。
今だと1オンス金貨1枚で14万円くらい。
(3)「金先物」はリスク耐性の強い人
ハイリスク・ハイリターンの典型。
(4)株式からの分散派には「金ETF」
株と同様に簡単に売買できる。金の投資信託のようなもの。
(5)「金関連ファンド」は会社の実態にも注意
騙されないように注意が必要で、自分で情報収集グセをつけましょう。
5、 金(ゴールド)関連商品の「買い方」「売り方」
(1) 金地金や金貨の売買店
田中貴金属の特約店。三菱マテリアル・住友金属鉱山・三菱商事。
(2) 金先物の売買店
東京工業品取引所の会員会社
(3) 金ETFや金鉱株ファンドの売買店
証券会社で口座の開設
6、 金(ゴールド)を持つことで得られる意外な恩恵
(1) 金は便利な相続資産
不動産より優れている。小分けできるので、醜い相続争いの種になりにくい。
(2) 消費税UPへの自衛措置
金を買うときに消費税が上乗せされるが、売る場合にも消費税を上乗せされて買い取ってもらえる。将来に消費税がUPすればその分高く売れる。
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