大学教授が科学的に考えたお金持ちになる本

1、要旨

 青山学院大学国際マネジメント研究科教授である榊原正幸氏が書かれた本「大学教授が科学的に考えたお金持ちになるための本」(PHP研究所発行)を要約して、以下に記します。

2、お金持ちになるための基本コンセプト

(1)お金持ちって誰のこと

 お金持ちとは文字通り「お金を持ち続けていること」を言います。「富裕層の定義」を「資産1億円以上、かつ年収が3000万円以上の人々」とします。

まずは、お金持ちになるためには「年収(フロー)を高くする」ことにじっくり取り組むこと。そして「稼いだ分をすべてつかっちゃうという支出構造から脱却する」ことです。

3番目に「投資で資産(ストック)を増殖させる」こと。

(2)普通の状態からお金持ちになる方法

 年収(フロー)を高くするためには、最も現実的なのは「サイドビジネスを立ち上げる」ことです。今はインターネットを使ってビジネスを展開する方法を考えて下さい。そしてサイドビジネスで得た利益はすべて投資に廻す。本業の所得の範囲内で生活する。

さらに、株式投資で稼いだお金は決して使わずに再投資して福利で増殖させる。

 サイドビジネスの指針としては①本業との関連性があって、自分の経験・知識が生かせる。②自分が好きなことや得意な事から選ぶ。③皆さんが笑顔になることをやる。

 投資という場合は3種類ある。①事業への投資 ②不動産投資 ③株式投資

お金持ちのなかで、この3種類のどれかを手がけていない人を知らない。つまり、このどれかを手がけなければお金持ちにはなれない。FXや商品先物取引は「投機」です。株式投資でも「仕手株取引」と「信用取引」は「投機」ですが、それ以外の株式投資は科学です。きちんと勉強すれば儲かるようにできています。

不動産投資は以下の特質があり、重点を置いていない。①株式に比べると流動性が低い。②資産の増殖にあまり向いてあらず、資産の維持に向いている。③株式に比べると管理運営に手間がかかる。④金額が大きいので、借入に頼らざるを得ない。⑤固有のリスクがある。(金利変動リスク・家賃変動リスク・空室リスク・物件価格の変動リスク・事件事故のリスク)

株式投資が今重要になってきている理由は「本業だけに頼らない生き方の確立」にある。そして長きにわたったデフレ時代を脱却し、これからインフレ時代へ向かう。そうすると資産インフレが起こり、株式・不動産・金が高くなる。

金地金は「お守り」です。有事(ハイパーインフレ)の時に効果抜群ですので、こつこつ購入しておくことをお勧めします。

「投資信託」については全面的に反対です。理由は他人に任せ切りだからです。あらゆる分野で「自己責任原則」が徹底し始めているこのご時世にあって「他人に任せきり」で上手く行くはずがない。自分で勉強して株式投資をすれば、投資信託の何倍もの利回りを手にすることが明らかだからです。もし万が一失敗しても、失敗の理由が自分でわかりますし、その失敗から多くを学ぶことができます。また投資信託は手数料がしっかり取られるからです。

「保険」に対する過度な依存心を捨てて、必要最低限にするのが良い。本質的な構造として、保険会社がしっかりと利益を確保しているので、保険に入れば入るほど確立的に損をするようにできています。

生命保険は各人のライフステージによって変わってきます。簡潔に言ってしまえば、独身者は不要ですし、結婚して子供ができて住宅ローンを組んだ場合は「団体信用生命保険」をかけるのが必須だと思う。

医療保険もあまり必要性はない。確立の問題として入ったほうが損をするのは確定的、安心したいから入る「マイナスの宝くじ」です。

学資保険も否定的です。保険の貯蓄性のものをつけるのは、あまりにも利回りが悪い。これも運用が他人任せになっている商品です。

自動車保険は入っておきましょう。危険がつきものですし、事故処理が高額になりやすいからです。

3、株式投資の意義とノウハウ

(1)複利のチカラによる長期の年金運用の考え方

現在の日本の年金制度は、現役世代から集めたお金を年金受給者に配っています。少子高齢化が進めばいずれ破綻してしまうでしょう。ですから時代遅れの年金制度をあてにすることをやめて、自分用の年金基金を創設してきちんと運用していかなければならないのです。自分自身の年金をつくるというのは、具体的には積立をすることですが「ただ貯金していればいいというわけではない」ことです。毎月一定額を貯金しながら、その資金を株式で運用して、「複利のチカラ」を効かせて増殖させていくこと。

 株式投資を実践する場合に最小限必要な基本用語を5つ説明する。

①1株当り純資産(BPS) ②株価純資産倍率(PBR) ③自己資本比率

④1株当り当期純利益(EPS) ⑤株価純利益倍率(PER)

(2)長期投資の覚悟を決めれば、大成したも同然

 長期的な資産形成には「株式投資」が最適であるということを、多くの先人が認めている。株式投資は目先の儲けを追うためにやるものではありません。長期的に取り組んで、大きな資産を形成するためにやるものです。長期的な資産形成を狙う投資家は、しっかりと勉強するので成功率が上がります。企業業績や株価推移の分析をきちんとできるようになっていきますので、安値と高値の見極めができるようになっていきます。これは圧倒的な優位性です。

株式投資を「短期的にやってみて、失敗したからといってすぐにやめてしまう」というのが株式投資で大成しない理由だと思います。株式投資を「一生続けるぞ!」と決めるだけで、心構えが違ってきます。

充分な資産を形成するために、何がポイントかというと、長期的な視点で株式投資を続けていくことによって「複利のチカラを利用する」ことが重要です。

株式投資は、儲けるための投資行動ではなく、長期的に継続することによって複利のチカラを発揮することのできるツールなのです。そして、この複利のチカラを身に付ければ資産形成において最強の武器になります。

(3)有望銘柄を発見するためのノウハウ

サカキ式投資法は、投資対象企業を財務優良企業と国際優良企業に絞る。

財務優良企業とは次の3つの条件を満たす企業のこと。①1株当り純資産(BPS)が1250円以上であること。 ②自己資本比率が60%以上であること。 ③BPSと自己資本比率の積数が1125以上であること。

国際優良企業とは東証一部上場企業であり、以下の4条件を満たす企業。

①大企業である。東証のTOPIX Core30とTOPIX Large70に該当する大企業 ②国際的である。海外売上高比率が30%以上であること。 ③知名度がある。1日平均の売買代金が30億円以上であること。 ④財務安全度が高い。BPSの値が500円以上かつ自己資本比率が30%以上であること。

(4)安全・堅実に年率10%を達成するための投資法

①投資対象は財務優良企業と国際優良企業に限定する。

②各四半期決算発表において、10%以上の増益予想である。

③株価がすでに上がりすぎている事例は投資対象から除外する。

④投資対象のメドは、PBRが0.8倍以下、PERは18倍以下、底値からの上昇倍率が1.5倍以下であること。

サウンドスクエア 株式会社

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