エクサスケールの衝撃

1、要旨

 コンピューターの性能がどんどんUPしていき、エクサの単位まで処理能力が高まると、現在の生活が一変していますという意見を斉藤元章著「エクサスケールの衝撃」(PHP研究所)は記しています。その内容が衝撃的ですので、以下に概要を記します。

2、エクサの単位

 キロ(10の3乗)⇒メガ(10の6乗)⇒ギガ(10の9乗)⇒テラ(10の12乗)⇒ペタ(10の15乗)⇒エクサ(10の18乗)。日本語では100京と表記されます。

エクサスケール・コンピューティングはこれまでに我々人類が体験したコンピューティングがもたらした恩恵とは次元の異なるものになる。

3、特異点

 ここでいう特異点とは以下のようなことを言っている。

(1) 知性的な機械装置が人の助け無に、次世代の機械装置を設計してしまう。

(2) 機械が人間の知能を大幅に凌駕する。

(3) 人間の知性を超えた存在が出現する。

 この特異点が来る年が2045年頃である。

4、前特異点

人類の知性を超える超知的マシンの出現する時点を言う。この前特異点を通過すると、人類が初めて「衣」「食」「住」に関する不安から解き放たれて、しばらくすると生活するために必要な「労働」からも解放され、間もなく「お金」に縛られることもなくなるといった衝撃的な変革がもたらされる。さらには人類はあらゆる「病気」を克服して、老化を止める手段すらその手立てを解明して獲得する。前特異点は2030年頃である。

2020年頃には1エクサフロップスの演算処理性能を持つ次世代スーパーコンピュータが完成し稼動を開始する。2020年以降もエクサスケール・コンピューティングは弛まず進展していく。最高性能については1年で2倍ずつの性能向上が期待される。そうして10年間に成し遂げられる研究開発とその規模はとてつもないものになっていることが確実である。それらの総体が前特異点の大きな社会変革もたらすことになる。

5、前特異点でもたらされる社会的事象

(1)エネルギー問題の解消

  ①高性能蓄電池システムによる全電力のピークシフトの実現

  ②各種の発電効率の大幅な改善

  ③様々な新しいエネルギー創出方法の確立

(2)基本的な生活の安定と長期の保障

  ①食料がフリーに

  ②衣料がフリーに

  ③住居がフリーに

  ④新しい「お金」による税金のない社会

  ⑤「お金」自体を不要とする社会

  ⑥公平・公正・平等で安全な社会

(4) 病気と寿命、老化からの解放

①病気の予防・診断・治療を突き詰めて「不病」を実現

②人体が技術によって部分的に置き換えられ、技術と融合していく。

③老化を制御して「不老」が実現

6、エクサスケール・コンピューティングの活用

(1)エネルギーがフリーになる経緯

   エクサスケールにコンピューターの性能がUPすると、高性能な蓄電池の開発が急速に進む。その高性能な蓄電池を搭載した自動車が夜間電力で充電し、日中はそれを売電(夜間と日中に電力価格差が3倍ある)することにより利益を生み出すことが可能になる。

(2)衣食住がただになる経緯

   上記のようにエネルギーがフリーになると、それに伴い電車等の輸送費がフリーになる。仮に給与を得なくても、自分が必要と思うレベルの生活が満足に送れるとしたら、給与など必要ないということにならないだろうか。

(3)食料がタダになる

   植物工場のランニングコストの大部分は光源と空調等である。エネルギーがフリーになれば生産コストがフリーになっていく。

(4)お金から解放される

   その人の収入によって買い物する物の価格が変動するカードを使用するようになれば、所得の少ないひとはタダで購入でき、所得の多い人は多額の支払いをして、その中から税金も支払うシステム。

(5)お金自体を不要にする社会

   衣食住がフリーになると、やがて「不労」の状態を実現するようになる。自動化とロボット化が進むことにより、労働時間も減っていく。その中から、他の人のために働きたいという人が出てくるはずである。そしてその行動が広がっていき、日常的にはお金を必要としないコミュニティが発生してくる。やがてその規模が大きくなり、全くお金を使用しないでも生活できる社会が実現していく。

(6)個人の尊厳と基本的人権と生活が守られ、夢と希望と生き甲斐を持って生活できる社会。

   上記のような社会になると、職業や生活する場所や生き方について強要されることはなく、全ての自由が保障されている。そうした状況であれば、個人の尊厳と基本的人権が守られる。

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