第3の超景気

1、要旨

 2018年7月の時点では米国が貿易赤字削減の対策として、輸入品に関税をかける政策を実施し始めることになりました。この政策に対して中国やヨーロッパは対抗処置を検討しています。いよいよ世界中を巻き込んで貿易戦争が始まります。

 こんな不透明な状況に差し掛かりましたので、日本の将来がどうなるのか心配です。

嶋中雄二著「第3の超景気」(日本経済出版社)という発売されたばかりの本に景気循環という視点で将来の予測が書かれています。大変な力作だと思いましたので、以下にその内容を抜粋して記します。

2、景気循環の波

(1)キッチンサイクル(短期:在庫投資循環)  4.9年周期

(2)ジュグラーサイクル(中期:設備投資循環) 9.6年周期

(3)クズネッツサイクル(長期:建設投資循環) 25.6年周期

(4)ゴンドラチェフサイクル(超長期:インフラ投資循環) 56年周期

3、日本の景気循環

(1)キッチンサイクルは2016年を底に2018年まで上昇波動にあり、2019年をピークに2021年まで下降する。2021年を底に2024年まで上昇する。

(2)ジュグラーサイクルは2013年を底に2018年まで上昇し、2019年から2023年まで下降する。2023年を底に2028年まで上昇する。

(3)クズネッツサイクルは2011年を底に2025年まで上昇し、2026年から2036年まで下降する。

(4)ゴンドラチェフサイクルは2000年を底に2028年まで上昇する。

上記のサイクルを総合すると建設投資やインフラ投資が2025年過ぎまで上昇していき、

設備投資は2019年頃から落ち着いてくるが2023年頃から上向いてくる。現時点(2018年)

の日本は大きな経済成長の時期を迎えているといえる。

4、米国の景気循環

(1)キッチンサイクルは2016年を底に2018年まで上昇波動にあり、2019年をピークに2021年まで下降する。2021年を底に2023年まで上昇する。

(2)ジュグラーサイクルは2012年を底に2018年まで上昇し、2019年から2022年まで下降する。2022年を底に2028年まで上昇する。

(3)クズネッツサイクルは2010年を底に2018年まで上昇し、2018年から2027年まで下降する。

(4)ゴンドラチェフサイクルは2008年を底に2034年まで上昇する。

上記から2019年から短期・中期・長期のサイクルが下降を始める。このような状況から

2036年に向けてスタグフレーション型(景気停滞下での物価高)不況が起きる可能性が高

い。

5、中国の景気循環

(1)キッチンサイクルは2016年を底に2019年まで上昇波動にあり、2019年をピークに2021年まで下降する。2021年を底に2024年まで上昇する。

(2)ジュグラーサイクルは2017年を底に2021年まで上昇し、2021年から2026年まで下降する。2026年を底に2030年まで上昇する。

(3)クズネッツサイクルは2011年をピークに2021年まで下降し、2021年から2031年まで上昇する。

(4)ゴンドラチェフサイクルは2011年をピークに2037年まで下降する。

  上記から中国経済は長期・超長期の二つのサイクルが下り坂にあります。中国は日本や米国と逆さまな動きになる可能性が高い。

6、日本に超景気の到来

(1)長期サイクルと超長期サイクルが同時に上昇するサイクルを「超景気」と著者は

呼んでいる。

(2)明治時代の1904年から1916年までが、第1の超景気であり「坂の上の雲」の時代。

   そして1951年から1968年までが第2の超景気「ALWAYS3丁目の夕日」の時代でした。

(3)2012年から2025年までが第3の超景気の時代となります。

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