プチ断食のすすめ
1、要旨
甲田光男博士(医師)が提唱している小食療法は断食と西式健康法(西勝造が編み出した健康法)を背景に50数年をかけた実践的治療の集大成として構築されました。その内容を東茂由が著書「長生きしたければ朝食は抜きなさい」で纏められました。その著書の内容を抜粋して、以下に記します。
現代人の多くは、なんらかの体調不良をかかえているといわれます。例えば、いつも胃腸の調子が悪い人。肩や首にこりがある人。いつも疲れている人。元気がでない人。朝起きた時に体がいちばん疲れている人。頭がいつも思い人。原因不明の頭痛に悩まされている人。肌が荒れてきた人。
いつもスッキリ快調という人はほとんどいない、といっていいくらいです。でも少しだけ今の生活習慣をあらためるだけで、さまざまな体の不調が消え、健康を実感できる方法がある。それが、甲田光男博士(医師)による「甲田式小食健康法」との事です。
私は医学に関して全くの素人です。以下に記した内容を医学的に説明できません。もし、実践される場合は詳しい人に相談されることをお勧めいたします。また実践される場合は自己責任でお願い申し上げます。
2、食べ過ぎが体をいじめている
健康を損なう要因はさまざまあります。ストレスもあれば働き過ぎもあります。お酒の飲み過ぎや喫煙も害になります。栄養のバランスを無視した食事も病気を招きます。しかし、それらのうち最大の要因は食べ過ぎにあると甲田博士は自信をもって言います。甲田博士は「健康を守るには小食しかないというのが、長年の経験から得た結論です。試しに、体調が悪いと思ったら食べる量を少なくしてみてください。ほかの習慣は続けたままで、食事の量を減らすだけで体調がよくなり、血液検査の数値が改善するはずです。食べ過ぎがいかに体調不良の原因になっているか実感できるでしょう。理想は腹六分目ですが、それは難しいでしょうから、せめて腹八分目を心がけましょう」と言います。
3、食べ過ぎがもたらす宿便の弊害
食べ過ぎは、腸の働きを低下させ宿便をためるもとになり、さまざまな病気を引き起こします。一般に宿便は腸のなかに1年も2年もこびりついているコールタールのような古便と認識されていますが、実際に内視鏡で腸の中を観察してもそんなものは確認されません。断食をするとほとんどの人が普通の便とは違う大量の便が排出されます。なにも食べていないのに便がでるのです。甲田博士は「宿便は胃腸の処理能力を超えて食べ続けた結果、腸管内に渋滞する排泄内容物である。道路と車に例えると、1分間に自動車100台が流れる高速道路では、70台なら楽に流れますが、150台の車が入ってきたら渋滞してしまう。これと同じ状態が腸に起きているのが宿便です。また胃腸の処理能力を超えて食べ続けると、腸の粘膜に炎症やただれを引き起こします。また胃腸は伸びて垂れ下がり、横に広がったりします。そうすると、安定が悪いので腸はあちこちへへばりつき、そこへ癒着が起こります。癒着したところは変形して細くなったりねじれたりするので、食べたものの通りが悪くなります。そのため食べ物残滓がひっかかり、宿便として停滞するのです。癒着が進むとその部分は横に膨れ上がって風船のようになり、腸マヒが起こり、腸が動かなくなります。腸の蠕動運動が十分にできなくなり、それによって宿便がさらにたまってくるという悪循環に陥ってしまうのです。」と言います。始末がわるいのは、腸に渋滞した宿便は異常発酵、つまり腐敗して体内に吸収されてしまうからです。宿便がたまっている腸は腸内細菌叢のバランスが崩れ、悪玉菌がはびこっています。腐敗の過程で毒素がつくられますが、それも一緒に腸の粘膜から吸収され、血液の中に入っていきます。つまり血液を汚すことになるのです。
宿便は腸の粘膜に炎症やただれをもたらし、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患を引き起こす原因になると甲田博士は言います。「アトピー性皮膚炎は食品に含まれる蛋白質にアレルギーを起こすことによって発症します。ふつう腸が健全であるなら、私たちが摂取した食べ物の中にある蛋白質は腸の中で消化酵素によってアミノ酸の低分子ペプチドになって体内へ吸収されます。ところが、腸の粘膜に炎症やキズができると、そこから蛋白質が体内へ侵入することになり、アレルギーを引き起こすことになります。」
動物性食品に含まれる脂肪は腸内を腐敗させ、宿便を溜め込む最大の原因になります。なぜなら肉は窒素を多く含んでいて、腸内で窒素が硝酸に変化し、腸内の善玉菌が減って悪玉菌が増え、腸内環境を悪くします。また肉は腸の中で腐りやすいので、アミン類ができます。このアミン類がウェルシュ菌などの悪玉菌を増殖させます。
食べ過ぎによってもたらされる大きな問題として「鈍重肝臓」があります。鈍重肝臓になると、さまざまな症状を引き起こします。「疲れやすく元気がない」「首や肩がこる」「本を読んでも頭に入らないし、内容もすぐに忘れてしまう」「いつもイライラしている」
4、朝食抜きの食生活が健康で長生きを約束する。
一日3食は現代の食生活の常識ですが、日本人が3食の食事をとるようになった歴史は新しく、江戸時代からと言われています。なぜ3食はよくないのでしょうか。栄養が足りないより、満ちていたほうが元気がでるのではないかと、多くの人が考えるのもうなずけます。甲田博士は一日3食では食事と食事の間隔が短すぎて、胃腸を休める時間がないと言います。食べてから完全に消化吸収されるまでには約18時間かかります。 食事量を減らすことで、体内の活性酸素がつくられる量が少なくなり、活性酸素の被害を最小限にでき、長生きに繋がります。 一日2食の少食療法を習慣にすると、太っていた人はダイエットでき、逆に痩せていた人は太ってきます。その人の適正な体重にコントロールされてきます。
断食の最大の目的は、食べ過ぎによる体内の余分な栄養を取り除き、人間が本来もっている能力を最大限に呼び戻すことにある。この能力とは病気を治す自己治癒力や免疫力です。断食は老廃物の排出を促進しますが、同時に環境ホルモンなどの有害物質をも排泄します。
5、一日2食の小食療法で注意すること。
一日3食を習慣にしていた人が、一日2食にするのは勇気もいるでしょう。たいていの人は食欲に対して意思が弱いものです。まずは間食や夜食をやめることからスタートして下さい。また、お腹いっぱいになるまで食べていた人は腹8分目にとどめてみて下さい。このような生活に変えるだけで体調が良くなるのに気づくと思います。
一日2食の小食療法の基本は朝食を抜き昼食と夕食の2食にすることです。夕食から翌日の昼食まで最低18時間開けることです。午前中になにも食べないことで、モチリンというホルモンの分泌が高まり、そのホルモンが腸の蠕動運動を促します。午前中は水分をしっかりとります。水分は空腹時にとることが鉄則で、食事中や食後3時間は飲まないようにします。空腹時以外の時間帯に飲むと胃酸や消化液を薄めてしまいます。
6、一日2食と断食の秘訣
(1)無理をしないのが成功への近道です。
第1ステップ「間食・夜食をやめる」
第2ステップ「朝食の量を減らす。それに慣れたら朝食を抜く」
第3ステップ「量を八分目に」昼食や夕食をたくさん食べては意味がありません。
(2)成功のコツ
A、朝食を抜く代わりに、野菜ジュースを飲みます。量は180ml程度が適当です。
B、腹八分目でやめるコツは「食べ物に対して感謝の念をもつこと。こんな私が食べ物の命をいただいて申し訳ないという気持ちをもつこと」です。また良く噛んで食べること。
C、一日2食を始めると、最初のうちは以前より便秘がちになる人がいます。胃腸が弱い体質の人にみられます。継続しているうちに胃腸の働きが改善してきますから、やがてスムースに排便できるようになります。もし、便秘がちなら朝起きたときに生水をコップ3杯飲みます。それでもでないなら、緩下剤のスイマグ(水酸化マグネシウム。製品名ミルマグ)20mlを水で飲んで下さい。
D、一日2食の小食療法はいわば安全に実行できる半日断食です。たとえ病気があっても、大半の人が問題なく行えます。ただし、重篤な状態にある人は専門医の指導のもとに行って下さい。
7、一日断食のススメ
一日2食の小食療法はいわば半日の断食ですが、もうひとつ家庭でできる手軽で比較的安全な健康法に一日断食があります。これは1週間のうち1日だけ一切食事をとらない断食法です。一日2食の小食療法と併用すると、さらに病気になりにくい丈夫な体になります。
一日断食は、朝おきてから就寝するまで、液体のもの以外はいっさいなにもとらない断食法です。水分はその間しっかり補給しなければなりません。一日断食は空腹感にさいなまれます。そこで一日2回、昼と夜にすまし汁を500ml程度飲みます。
断食を終了したあとの食事を復食と言いますが、お腹いっぱい食べてしまっては、断食の苦労が水泡に帰してしまいます。復食は梅干1個を入れた1杯のおかゆにします。昼食からはいつもどおりの食事に戻してかまいません。一日断食の効果のひとつは大量の宿便が復食をとったあとに排泄されることです。1週間に1度の一日断食を1年間継続すれば、別人のように体が引き締まり、健康になったことを自覚するはずです。
8、本断食は難病に劇的な効果が期待できる
本断食は、3日以上にわたって行う長期の断食のことです。難病に劇的な効果をあらわすことが少なくありません。しかし家庭では行えないし、絶対に独自の判断で実行してはいけません。もし希望する場合は断食療法を指導している病院や専門施設で、専門家の指導のもとに行って下さい。
9、難病対策の要点
(1)ガンの予防
ガンになるのは悪い生活習慣が20年も30年も続いた結果である。生活習慣の中でも最も比重が重いのが食事で、食べ過ぎるのが原因です。ガンを防ぐには断食をして宿便をとることが有効です。朝食抜きの一日2食にして食べる量を今までの3分の2に減らすことからはじめたら良いでしょう。
(2)高血圧
食事療法で改善できます。それには小食にすることです。例えば一日1200キロカロリーにしてみて下さい。朝食ナシ(水と柿の葉茶)、昼食は野菜ジュース、夕食は野菜ジュースと豆腐・生玄米。
(3)脳卒中・心筋梗塞
血管障害が背景で起こる病気も、宿便が関係して発症する場合が大変多い。宿便をとるには断食療法がひじょうに有効です。
(4)糖尿病
グローミュー(血管のバイパス)を再生させることが決め手になります。そのためには食事療法が有効です。一日1200キロカロリーにとどめておき、生野菜の摂取が大事です。
(5)痛風
肉や魚などの動物性食品をいっさいやめて玄米採食の小食にすれば、尿酸値は下がってきます。
(6)C型肝炎
一日2食で生採食が有効です。それを続けながら1週間の間隔を置いて本断食を行うと、肝機能が少し上がります。この併用を何度もくり返すと、肝機能が正常になっていきます。数か月から数年はかかりますが。
(7)慢性腎炎
生採食の一日2食の小食療法が効果的です。腎機能は早朝から正午にかけて活発になり、夜間は低くなります。だから朝を抜く方法が理にかなっています。足の故障があると腎臓の機能が低下します。ハイヒールをはく人は100%足が悪くなります。足の故障は上へ上へとジグザグに連鎖するので、骨盤も胸椎も頸椎も狂ってきます。
(8)アレルギー
腸のキズを治さなければ治りません。一日2食の小食療法が効果的です。アトピー性皮膚炎に比べると、花粉症はその程度が軽いので食べ過ぎに注意すれば症状は軽くまってきます。アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくの場合は玄米採食の一日2食の小食療法を実行すると改善してきます。
(9)膠原病
宿便をとるのが改善への道。10日間の断食をすると劇的に症状が改善してきます。ひとりで行う療法としては生採食の一日2食の小食療法を続ければ確実に好転してきます。
(10)目の病気
とくに腎臓と密接に関係しています。腎臓が弱ってくると、目も疲れやすくなってきます。一日2食の小食療法を実行し、朝晩に西式六大法則を行うと効果的です。
(11)慢性腰痛・肩こり
腰椎の狂い、アキレス腱の短縮・硬化などを治せば、腰痛から解放される。それには断食療法は卓越した効果を表します。ひとりでは本断食ができませんので、一日2食の小食療法と西式健康法の六大法則を実行するだけで改善していきます。 食べ過ぎは筋や腱を硬くし、腰痛や肩こり、ひざの痛みなどをひきおこします。
(12)頭痛
慢性の頭痛は宿便が影響している。一日2食の小食療法で、宿便が排泄されたら、頭痛はウソのように消えることが多い。
(13)うつ病
肝臓が弱っている人がなる傾向が顕著です。鈍重肝臓です。肝臓が悪いのに抗うつ剤を服用したら、余計に肝臓がやられるだけです。一日2食の小食療法にして宿便をとるのを基本に、温冷浴、拝復運動などを実行して肝臓を治すことがうつ病改善の早道です。
(14)虫歯
歯を磨くのはほどほどにして、あとは唾液の修復力を高めることが大事です。そのための最善の方法は断食です。虫歯ができやすいかどうかは、唾液の質、つまり酸性かアルカリ性かによって決まります。酸性なら虫歯の原因になる細菌が好むので、それによって歯の表面が溶けて虫歯になりやすくなります。ところが断食を行って宿便をとると、腸内細菌のバランスがととのい、口のなかの細菌も適正に保たれます。その結果、唾液がアルカリ性に近づくので、虫歯ができにくくなるのです。また、虫歯には頸椎も関係しています。頸椎の3番と4番が狂うと、歯茎の血流が悪くなり、虫歯になり易くなります。
(15)薄毛・脱毛
髪が薄くなるというのは腎臓が関係しています。腎臓の働きが低下して、むくんでいるのが原因です。体がむくむと、頭皮も水分が多くなってブヨブヨになります。すると毛根に栄養が届かなくなって髪の毛が抜けるのです。腎臓の働きをよくするには一日2食の小食療法が基本です。朝食抜きを続けると、体内の余分な水分が排出されて頭皮が引き締まってきます。その結果、毛根に栄養が行き届くようになるので、髪は順調に成長し抜けにくくなります。加えて、腎臓と関係している胸椎10番の狂いを治すとなお効果的です。
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