新観光立国論

1、要旨

 日本はこれから大きな人口減少時代を迎える。そのため、消費や活力が全体的に落ちていくのではないかと、一般的には考えられている。そうならない為の対策のひとつとして日本を観光立国にしてはどうかというのが、著者デービット・アトキンソン「新・観光立国論」です。その著書に書かれている部分を抜粋して以下に記しました。参考にしたい意見です。

2、「短期移民」で日本は成長する

 日本の人口が減っていく中で、移民政策や生産性向上などが検討されていますが、人口減を補えるほどの成果は難しいのが現状です。そこで「短期移民」すなわち外国人観光客を大きく増やすことを提案します。

3、日本は「観光立国」になれる潜在力がある

 2015年の世界経済フォーラムが発表した「観光潜在力ランキング」と各国の観光収入によると、日本の潜在力は第9位ですが、観光収入ではランキング上位15か国の平均の1/3しかありません。

 観光立国の4条件は「気候」「自然」「文化」「食事」です。「気候」の幅の広さは観光立国としては有利にはたらきます。また、自分の国では見ることができない雄大な「自然」も大切なポイントです。「文化」には歴史的遺物・建造物という過去の文化もあれば、現代の文化も含まれます。最後に「食事」は外国人観光客を呼び込むには非常に重要なファクターです。

4、四条件を満たす稀有な国、日本

 日本の「気候」の特色は、暑い地域と寒い地域の差が大きいこと。つまり、北海道でスキーもできるし、沖縄でビーチリゾートを楽しむこともできるのです。

 日本は国土の多くが森林や山で占められています。屋久島の森林や富士山に代表されるように「山岳」「山林」という自然も立派な観光資源になります。また日本は動物や植物に恵まれています。

 「日本の食事」は「和食」が世界文化遺産になったことからもわかるように、立派な観光資源です。また日本国内の「洋食」というのもかなりハイレベルで多様性に富んでいますので、さまざまな外国人に対応できます。

 「日本の文化」は独自のものが多くあり、幅が広いといえます。お能・歌舞伎・和歌・俳句・三味線・アニメ・マンガなど実に幅が広い。文化財に関しても、お城・お寺・神社・日本庭園などさまざまあります。さらに華道・茶堂・柔道・剣道などの「道」を始め、神道や仏教という日本の宗教も人気があります。また、古い文化を残しながら、次にやってきた新しい文化を取り入れています。

このように考えていくと、日本はフランスやスペインのように「観光立国」の条件を全て満たしている国であります。

5、日本は観光業に力を入れてこなかった

 日本はこれまで、最先端技術や工業に注力し、すさまじい勢いで開発を進めてきた。そちらにばかり力をそそぎ、外国人観光客を多く受け入れようと考えなかった。また、日本は観光産業というものを「下」に見ていた。日本の予算も文化財に振り向けられる分は世界の観光立国と比べて驚くほど少ない。

6、圧倒的に不足している観光ロジスティクス

 日本にやってくる外国人の立場に立って見てみると、不便なことが大変多い。例えば成田空港の入国カウンターは外国人向けが少なく、長蛇の列ができている。成田エクスプレスも海外からの最終便が到着する前に終わってしまう。始発に関しても同じことになっている。成田空港から東京まで新幹線を走らせるべきだと思う。

また、電車の運賃が高いのも外国人観光客が不満に感じていること。券売機でクレジットカードが使えないのも不便です。

 外国人に不人気なのが、ゴミの捨て場が少なくて困っている。また、日本にはベンチは少ないので、歩き回る外国人には不満をいう人もいる。

7、日本の文化財には説明と展示が不可欠

 日本の文化財は欧米人から見ると、非常にユニークです。詳しい解説を聞けば、殆どの欧米人が関心を持つのは間違いありません。欧米人がこれまで見てきた文化財と異なっているため、「説明」が必要です。ガイドブックの充実や、展示パネルを用いる方法も良いでしょう。

8、観光は一大産業であると自覚せよ

 観光客の一義的な目的は、楽しみたい、刺激がほしいということです。その対価として、お金を落としてもらうのは当然です。観光立国を推進していくと、日本を訪れる外国人達がみな日本のルールを守るとは限らないという負の側面があります。その時、それを緩和させられるのは、経済効果です。お金を落とす「お客様」を迎えるための負荷であれば、住民も納得できます。そのためには、観光は「奉仕」ではなく、「産業」であるべきなのです。そもそも「観光」とは、外国人を「おもてなし」することではなく、お金を払ってくれる外国人にしっかりとしたサービスを提供することなのです。

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