誰にも負けない努力
1、要旨
社会が大きく変化をしていく今は「リーダー受難の時代」と言える。そんな時代のリーダーに対し、指針と励ましの言葉を「誰にも負けない努力」(述者 稲盛和夫、編者 稲盛ライブラリー)として出版された。以下に私が心に残った内容を一部記す。
2、ビジョンとミッションを確立する
企業を発展させていくにあたり、最も大きな原動力となるのは何か。それは「会社をこのようにしたい」というビジョンである。では、そのビジョンを実現していくときに、会社という集団にとってなくてはならないのは何か。それがミッション(使命)である。リーダーはビジョンを掲げるときに、その前提として企業経営の真の目的であるミッションを説かなければならないのである。
京セラは「稲盛和夫の技術を世に問う」ために作った会社だったが、その目的をきっぱりと捨て、京セラの経営ミッションを「全従業員の物心両面の幸福を追求する」に変更した。しかし、ただ単にそれだけでは社会の公器としての企業の責任を果たせないと思い、「人類、社会の進歩発展に貢献する」というミッションも付け加えた。このように経営のミッションを変更した瞬間に、それまで抱いていた私の悩みは跡形もなく消え、自ら掲げた高いミッションに向かって、いかなる苦労も厭わず努力を重ねていこうと決意を新たにすることができた。
3、楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
超楽観的に目標を設定することが必要である。その上で、計画の段階では、悲観的に構想を見つめ直す。そして実行段階ではとてつもなく楽観的にいく。それが新しいことを成し遂げる要諦なのである。
重たい車輪を動かすには、最初のひと押しがいるわけで、すなわち超楽観的に目標を設定することが必要です。やると決めたら、人材はどこかから採ろうではないか、技術はどこかから入れようではないかと、次はそれをクリアするにはどうするかということを考える。そして、無い知恵を一生懸命絞って悲観的に計画を立て、技術はこうする、人材はこうすると決まったら走り出すのです。走り出したら、今度は楽観的にいく。うまくいかないのではなかろうか、という事を思ってはなりません。
4、飛び石は打たない
チャレンジすることは大切だが、無謀なチャレンジはいけない。自分の得意でないものに次から次へと手を出さない。「飛び石を打つな」はチャレンジの前提条件である。
チャレンジしていく場合には、切られないように飛び石を打たない。自信のあるもの、つまりつないだ石しか打ってはならない。自分の得意でないことには手を出さないということです。
5、「見えてくる」まで考える
うまくいく仕事というのは、最終ゴールまですべて見通しがきき、見えている状態でなければならない。始める前から自信めいたものが沸いており、「いつか来た道」というようなイメージが描けていなければ、事業というのは絶対に成功しない。
第二電電を起こしたとき、展開の過程は当初描いた通りではなく、様々な変化があって、その都度真剣に考えながら対処してきましたが、大切なことは、不安は一つも無かったということと、成功するということがイメージとして描かれていたということです。ところが、やることすべてがギクシャクし、新しい課題が現れてくるようなら、もう絶対にうまくいきません。もちろん進めていく途中でも、いろいろな事態が起こってきますから、その都度解決しながら、曇りが一点もない晴れ晴れとした心になっていなければ、絶対うまくいきません。
0コメント